K.I.さんからの便り

 ドイツ留学中のK.I.です。年齢は19歳。性別は男性。
 本文はドイツ留学に関する、感想や情報、教訓などを記載しております。

 今回は学習面と建築・風景に関する記載を行う。

 現在、私はドイツ留学先大学にてドイツ語を学習中である。
 カリキュラムは初心者(ビギナー)コース。基本的な文法と単語より学習を開始するコースである。
 基本は月曜から金曜までの週平日五日間である。講義時間は2時間。私の属するクラスの人数は約20名前後。内の六割強が東アジア系である。ちなみに東アジア系で男子は本クラスでは私しかいない。
 私的情報になるが、私の場合、本クラスで交流が大きいのはインド・東南アジア系の方々である。彼らは非常に友好的であり、私とはどちらかといえば性格の方向性が異なる、社交性の高さを窺わせている。備考になるが、私は対人接触が不得意な類の人間であるが、彼らの外向性は私の内向性を上回り、好意的な友人関係が早期に築かれるという結果を生み出した。
 講義の内容であるが、それ自体には目を見張るものはない。ただし、日本国内で学習した時よりも脳が対応するまでの時間が早いことだけは確かである。それはもちろんドイツ国内にいるということは、当然のように耳がドイツ語を捉えているわけであり、また人間としての環境適応能力が働いた結果であろう。
 講義は全編において英語9割、ドイツ語1割の割合で開設される。結果、講義終了時には集中した分に比例して側頭部に大きな疲労感がある。ただし、これは本来特筆すべきことでも何でもないだろう。学習という行為は脳の記憶域を刺激する作業であり、それが脳細胞の酷使(脳に痛覚はないので、この疲労感は脳内血管と頭皮が生み出した疑似的脳痛覚と呼べるかもしれない)である以上、活動量に応じた疲労は蓄積するものである。むしろ同時に英語に関しても鍛練が可能になり、いや、むしろ英語を鍛練せねば講義に対応できないので否が応でも英語のレベルも上昇することになる。

 続いて建築・風景面に関して記述する。

 建築に関しては私のいる地域に関してはコンクリート建築物の少なさが逆に日本の光景とギャップを生み、違和感を生み出している。
 存じての通り、欧州は古い建築物(決して卑下する意味ではなく、むしろ好意的な視点からの発言であることを留意してもらいたい)に対して高い意識がある。
 もちろん、それは自然環境というポイントが日本とは違うことも原因であろう。ドイツに限らず、欧州は地震が発生しない。それに対し、日本は世界屈指の地震大国である。3つの巨大なプレート上にあり、絶えず地震に襲われる国家である。
 結果として日本は古い建築物保護よりも新規による安全性・生産性を高める形で発展した。つまり、高尚か否か、文化的か否かではなく、環境面を配慮せねばならない。
 それでもより歴史ある建築物に接触すれば心震えるもまた人間の性である。私もそんな人間の1人であることを否定しない。ただし、残念なことに私の住んでいる大学寮は根っこからのコンクリート建築である。
 風景に関しては、我儘ではあるが、空に関しての記述から行いたい。
 私がドイツで生活を始めて3ヶ月が経過したわけであるが、全体的に灰色の日が多い。すなわち雲量が9割以上の日が圧倒的日数を誇るのである。また冷雨の日も多い。しかし11月中旬頃より逆に秋ではなく春を想像させる気温の日が続いている。どうやらドイツ人パートナーの情報によると冷雨自体は毎年のことのようだが、気温の高さは例年以上のようである。何処でも気象異常は存在するという実例を早速噛みしめたわけであるが、これに関しては昨今の日本政府の二酸化炭素削減目標提言問題など経済に深く影響する議題である為、私個人としては意見したいわけではあるが本ブログ趣旨に適さぬ為自重するのが適当であろう。
 さて、やや脱線したが、雲量が少ない夜は、非常に星が綺麗に確認することができる。というのも、前回に既述したようにドイツの閉店時間は早く、24時間店舗(コンビニ等)はまず身近に存在しない。結果、自然と人工光量が減り、何処でも星の光を確認することができるのである。これに関しては久しく覚えていなかった感動を味わった次第であり、翻訳版であるが欧州系ファンタジー小説を多少なりとも嗜んだ私としては自然と周囲の建築物ともリンクさせたわけである。
 続いて山林農業風景であるが、これはもはや記述する必要もない事であるが、日本のように傾斜が大きい山地ではない為、非常に平面であることに、やはり直接目視すると驚きを隠せず、なおかつ自身の価値観があくまで日本をモデルにしたものだと実感できる。他にも風力発電プロペラが並ぶ姿は壮観であり、また心の隅でどうしても違和感のある光景だと言わざる得ない。
 少なくとも目と五感外感覚を楽しませるには十分な価値のある風景であり、これは写真や映像ではなく、直接体感する以外に実感得れないものである。

 最後に蛇足にようになるが、ドイツにおける教訓を残す。

1. ドイツのATMは非常に我儘である。引き出す際は粘りが必要である。
2. バスに乗り間違えた時は、万国共通で無暗に降りず、1周するのを待つのが良い。
3. ドイツ(というよりも製品によっては)フライパン等にはコーティングがされており、これを無暗に傷つけると毒性がある。結果、フライ返しは金属製よりもプラスチック製のものが良い場合がある。もちろん料理における用途も重要である。

                       以上、11月29日記載分