K.I.さんからの便り

ドイツ留学中のK.I.です。年齢は19歳。性別は男性。
 本文はドイツ留学に関する、感想や情報、教訓などを記載しております。


 8月31日、フランス経由の乗り継ぎ便にてドイツ連邦共和国に無事到着。ドイツ初の陸地はフランクフルト国際空港となる。到着した時点で夕刻である。成田を発つ時点で台風が接近していたこともあり、フライトが中止になる可能性もあった、やや緊張と伴ったフライトだった。

 だが予想外にも心は落ち着いていた。もちろん、英語も拙く、ドイツ語も最低限程度しか使えない自分にとって、未知に溢れた世界のはずなのだが、不思議と言語が通じない恐怖や文化が違う恐怖、そもそも周囲に日本人がいない違和感も問題なく受け入れられたと言っても過言ではないだろう。

 ただし、実際にコミュニケーションするとなると話は別であり、迎えに来てくれれた、今後のドイツ生活をサポートしてくれるパートナーとも当初はまるで人形のような対応しかできなかった。

 ドイツ生活において、住居として用いるのは学生寮である。家賃は214ユーロで、風呂(シャワーのみ)・トイレ・台所が共用である。また洗濯機は寮棟に1台存在するコインランドリー形式となっている。

 揃えるものは多々あったが、9月初めの頃に生活できる最低限の物資を整える。主に布団・枕・食器及び調理器具等である。

 食料に関しては、基本の主食はパスタとジャガイモである。肉類はバラ売りとパッケージの2種あり、肉屋とスーパーマーケットが混合したようなスタイルである。野菜に関してはパッケージもあるが、1kgあたりの値段表示が基本で、バラで欲しい分だけ買うことも可能である。水に関しては砂糖・甘味料の類が入っていない炭酸ミネラルウォーターを特筆すべきだろう。通常の炭酸のない水ももちろんあるが、他にも『Medium』や『Classic』といった具合に差分があり、Medium<Classicの順で炭酸具合が強くなる。ちなみにドイツは海に接していないこともあり、魚介類は豊富ではない。
 ちなみにお菓子に関しては、チョコレートやクッキーが主力のようである。スペースも広く取られている。もちろん他にも多種あるが、個人的には『Rocky Mountain』というマシュマロが非常に群を抜いて美味しいと言わざる得ないだろう。ただし、やや割高なのが痛いところである。
 後述するが、食料品に関してはやや悲劇をドイツに来て早々被ることになる。これはドイツのせいというよりも、自分の歪んだ節約精神が生んだ悲劇だと理解していただきたい。

 余談だが、クレジットカードはVISAとMaster Cardの2種を持っておくと意外と便利である。JCBはもちろん使えないが、たまにVISAの使用できない店がある。その場合、逆にMaster Cardが使えるパターンが多い。

 他国の留学生の数は非常に多く、中でもアジア系(中国・韓国)が多い。噂では聞いていたが、大学内でも多数のアジア系を確認することができる。他にもアラブ系も多く、どちらにも言えることだが、同人種同士で固まり合う傾向がある。これは留学という精神的プレッシャー内で、シンパシーを感じる者同士がコミュニティを作り、平常心や育った社会性の維持・再認識するロジックと考えて間違いないだろう。

 ドイツ語学習に関しては最初に初心者コースを選択し、主語・述語から学習を開始する。何事にも基礎からが重要である。

 この段階で悲劇が起きた。1ヶ月に及ぶ闘病生活の始まりである。

 安く多量に仕入れたのは良いが、余りに余って時間が経って、緑に変色したジャガイモたち。それをあろうことか、半生料理で食べたのである。それもほぼ1週間毎日。
 結果、ジャガイモの毒で倒れる。国外に出たということもあり、食に関して怠りがあったと言わざる得ない。
 症状の詳細は記載しないが、酷いものである。特に頭痛と腹痛が酷く、食事量が激減(いや、ほぼ皆無)。結果、水分不足と軽い栄養失調で点滴を打つことになる。加えて免疫力の低下によりウイルスに感染し、気づけば9月の後半から10月の半ばまでほぼベッドで過ごすという、虚しき日々を過ごす。

 だが何事にもポジティブ思考が重要である。お陰でドイツの医療や病院のシステム等を直に体験できたと思えば、他の留学生では味わえない貴重な体験である。加えてこれだけ酷い目に遭えば、もう残りのドイツで過ごす時間は病気とは無縁でいられるはずである。

 病気から復活後、まずはすっかり衰えた筋力と持久力に絶望しつつ、ドイツ語学習コースに再度参加する。初心者コースはすでに終了していたが、冬季のドイツ語学習コースがあり、これは初心者コース同様に基礎から学習するコースである。これに参加することによって、現在は日々ドイツ語の鍛錬に励んでいる。

 ドイツ、3つの教訓
1. 日曜日はあらゆる店が休み。だから土曜日に注意しよう。土曜日が祭日で休みだった場合、食料を買い込めずに地獄を見ることになる。
2. ドイツのレトルト食品には気をつけよう。味が種類によって天と地ほどの差がある。
3. ジャガイモは緑になったらおとなしく捨てましょう。あと半生で食べるのは絶対に駄目です。前者と後者を同時に行った場合、上記の悲劇を味わうことになります。