K.I.さんの便り

ドイツ留学中のK.I.です。年齢は20歳。性別は男性。
 本文はドイツ留学に関する、感想や情報、教訓などを記載しております。


 2010年2月、今回は日本とドイツの様々な『システム』の違いを記載します。

※この度、『システム』と定義されるものは接客や交通などをよりスムーズに行える、あるいは定着した形式を示すものとします。また、これは一例に過ぎず、全面的に日独の差異であると断言するものではありません。興味がある方は、是非とも今回記載するデータを足がかりに調査することをお勧めします。また見解には私個人の偏見も含まれます。


1.スーパーマーケット等の販売店
 まず大きな違いはレジである。日本のレジの場合、基本スタイルは客が商品を籠に入れて運び、会計を済ませる。その際、定員は起立の状態である。そして客はそのまま商品を籠に入れたまま、持ちよりの袋、あるいはレジ袋に入れるスペースに移動する。                  写真A


 写真Aがドイツのレジの基本形式である。目に付く差異の1つとして、ベルトコンベア式の会計システムが取られている所にあるだろう。客は籠からベルトコンベアに商品を並べ、列前後の客の商品と区別するべくブロックを置く。籠は基本レジを通る際に持ち込むことは不可である。このベルトコンベア式の利点として、商品の確認のし易さという点がある。次に目を引くのがレジ員は起立ではなく、席に座っているところである。また客から見える場所に飲料水も置かれている。およそ日本では確認できない状態である。
 この状態に対しては日本で培った見識を排す必要性がある。日本人の場合、礼節面や精神面……言い換えればサービス面に対して非常に敏感かつ高評価する傾向がある。客に対しての礼儀として起立の状態を維持し、また休憩用の飲食物を客の目につく場所には置かない。付け加えるならば愛想も求められる。これに対し、ドイツでの接客態度や客の態度を観察したところ、レジ員に求められているのはサービスではなく、より合理的な面、スピードであると考えられる。客はレジを通された商品を素早く袋に入れ、限りなく時間をかけずに会計が済み次第立ち去る。レジの先にはのんびりと袋に入れるスペースもないのだから必然の現象だろう。それはともかく、そもそも起立状態ではないことに無礼と感じていないことが重要であり、また体験した者ならば分かるが長時間の起立は体力を消耗させる。より長時間労働をこなすならば座って行った方が確実であり、また客も公認の形で自由に飲料水によって体力補給ができるのはシステム面で見れば高評価とも言える。ただし、これを日本に導入すれば良いかと訊かれれば否であり、接客スタイルには合理面だけではなく文化面の分析が重要であることが分かる。
 ベルトコンベア+座り接客というシステムは文化面をクリアすれば合理的な限りではあるが、1つ大きな欠陥もある。必然的にレジスペースが広範囲で占められ、またコスト面にも導入に費用が増すという点である。


2.交通機関『バス』
写真B

 バスに関してはいくつか興味深い点がある。写真Bを見てもらいたい。日本でも導入されていることもあるが、電子掲示板という形で時刻表がリアルタイムで記されているところである。後何分でバスが到着するか一目で確認することができる。これは非常に利便性の高いシステムと言えるだろう。
 日本とドイツのバスには大きな違いがある。それはドイツの場合、前金形式であるということだ。バス停には目的地までの料金表があり、乗車の前に支払いを済ませねばならない。日本の場合、後金形式であり、バスには乗った地点から行き先までの料金がリアルタイムで表示される。
 料金制度に関しては賛否両論であるが、学生に対してフリーチケットを発行しているという点が大いに活躍している。これは定められた地区間だけではあるが、バスを初めとしたあらゆる交通機関を無料にすることができる定期券である。やや高額ではあるが、これによって発行された期間内は自由に交通機関を使用することが可能になる。交通機関の利便性向上と使用頻度の増加は人間の行動範囲を拡大させ、同時に経済における消費活動も活発化させる。経済が冷え込む昨今の日本も短距離交通機関に着眼することが求められるかもしれない。


‐番外編‐電器店にて
これはあくまでとある1店の話であるが、非常に興味深い日本との差異がある。この店には最低限の荷物以外の持ち込みをすることはできないのだ。つまり、余計なバック等は持ち込みできず、専用のカウンターに預けねばならない。
理由は無論だが万引き対策である。だが同時に人間の心理状況にも大きな変化をもたらすのではないかと推測する。
バック等の荷物というのは自分と経済を直結させる、いわば橋渡し的な存在である。バックがあるとないとでは商品を見る状態での心構えが異なり、また肉体の自由性も増すせいで綿密に商品をチェックする余裕も生まれる。つまり、バックや荷物を預けることによって商品の購買性を上昇させているのではないだろうか?
 これはあくまで推測であり、勝手な解釈である。しかし、1つの店でも今までとは異なる対応、異なる様相で以っていた場合、そこには大きな興味が寄せられる。
 こうした何気ない1つ1つの差異を見つけることもまた、楽しみであり、重要な知識として獲得できるものであろう。


 今回のドイツ3つの教訓
1.レジを済ませたら手早い袋詰めを。後ろのお客さんに多大なご迷惑をおかけすることになります。
2.時刻表にはズレがあります。5分や8分の違いくらいあります。
3.電器店で商品をチェックするだけで各国の経済競争力が分かります。いろいろと無駄に鬱になったりする時があります。お気をつけください。

                      以上、2月26日記載